一世一代の旅

2015年03月24日 02:45

最近読んだ本に書いてあったこと。

「あれは誰だったろう。外国文学の研究者がこんなことを書いていた。

そのときは気がつかないが、歳を取ると、それが自分にとって一世一代の旅だったと思えるものがある、と。

 確かに、だれにとっても一世一代の旅というのはあるような気がする。しかし、一世一代の、というのはスケールに冠せられる形容詞ではない。どれほど長い期間、どれほど遠いところに行っていたとしても、必ずしもそれが一世一代の旅となるわけではない。

 そのときはまた来ることができると思っているが、あるとき、自分は二度とそこに行くことはないのだと、愕然とするような思いで悟ることがある。その瞬間、その旅が一世一代の旅になってしまうのだ。」(『天涯』沢木耕太郎)

 ものすごくわかる。歳を取るってそういうことだよなあ。自分にとっての一世一代の旅は大学時代、ロンドンへの一人旅や、オーストラリアをバックパック一つで回った10日間だろう。もう本当の意味での「一人旅」はできないのだろう。

 歳を取って得たものも多いが、失ったものもある。でもそれにセンチメンタルを感じたくはない。

 本当の自由は心の中にある。それさえ忘れなければ、人生はいつだってバラ色だ。

 

 

安倍