Sayonara
昨日は久しぶりのスタジオだった。久しぶりにレスポールを弾きたいと思い、ブラックバードを持っていった。
練習一曲目、ブラックバードでFoolish Prideを弾いた。相変わらず抜けのいい音だった。その後もブラックバードで何曲か歌い、休憩。久しぶりに生ドラムを叩いた。狂ったようにバカスカ叩きまくり、すっきりしてギターに戻ろうとした。汗だくになり、いい気分だった。
その時だった。スタンドに立ててあるブラックバードに俺の足が引っかかり、ネックから地面に倒れた。ネックの7フレットあたりがエフェクターボードにしたたかぶつかった。ギターを確認してみると、ネックは無事のようだった。しかしチューニングが思いっきり狂っている。よく見ると、ヘッドの部分がバックリ折れていた。3度目だ。一度目はennでのライブ中に、二度目は掃除中に倒れ、同じ部分が折れた。今まで2回修理した、まったく同じ部分である。
ブラックバードは大学時代に2年ローンを組み、初めて買ったまともなギターだった。あの頃は「このギターとは一生付き合っていく」と思っていた。しかし最近は出番が少なく、たまに弾く程度だった。年を重ねるごとに自分が求める音が変わっていった。色々なギターを弾くようになり、現在はストラトがメインギターとして落ち着いている。
俺はブラックバードのネックが折れたのを見た瞬間、さよならを決意した。これは運命なんだと思った。
形あるものは、いずれ壊れる。でもブラックバードが教えてくれた、ギターを弾くことの喜びや音楽の素晴らしさは、俺の中にずっと残る。大事なものは目には見えない。
俺はストラトを手に取り、歌った。そしてストラトを弾きながらブラックバードを床に叩き付けた。木片が飛び散り、ボディーとネックとヘッドがばらばらになった。俺にとってそれはものすごく自然な行為だった。感謝の気持ちを込めて、思い切りぶっ壊した。
それからブラックバードのことを思いながら、歌った。家に帰り、破壊されたブラックバードを見ながら酒を飲んだ。むき出しになった木材の部分に鼻を当ててみると、木のいいにおいがした。
ブラックバードは星になった。ありがとう、ブラックバード。
安倍